理由か、目的か。
問いが変われば、未来が変わる
「なぜ?」と「Pourquoi?」
日本語で「なぜ?」と問うとき、
そこには過去の出来事や理由を探る響きがあります。
一方、フランス語の Pourquoi? は直訳すると「何のために?」。
未来の目的や向かう方向をたずねる問いです。
同じ「どうして?」でも、
言葉が導く意識の先は大きく異なっているのです。
答えられなかった「なぜ?」
学生の頃、私はフランスに留学したいと話しました。
そのとき、こう聞かれました。
「なぜ?」
私の答えは
「フランス語を習得したいから」
「フランスで暮らしたいから」
すると、さらにこう聞かれました。
「何のために?フランス語を学んで、どんな仕事をしたいの?」
私は、答えられませんでした。
情熱は溢れていました。
けれど、それをどんな未来へつなげるのか、
そのときの私にはまだ見えていなかったのです。
本当に欲しかったもの
いま振り返ると、私が欲しかったのは
フランス語という「手段」そのものではありませんでした。
私が望んでいたのは、
フランス語を話せる“自分”という存在になること。
正しく話せるようになることよりも、
その言葉を生きる私であること。
それによって、実感したいものがある。
無意識のどこかで、私はそれを知っていたのだと思います。
言葉が変える行き先
日本語の「なぜ?」は、古語「なにゆゑ(何故)」に由来し、
「どんな理由で?」を意味します。
つまり、原因を探る問いです。
フランス語の Pourquoi は、
pour(〜のために)+ quoi(何) から成り立ちます。
直訳すれば「何のために?」。
未来の目的をたずねる問いなのです。
催眠の場面でも、問いかけひとつで無意識が開く方向は変わります。
「なぜ?」と聞けば、心は過去へ向かい理由を探す。
「Pourquoi?」と聞けば、心は未来を思い描き目的へ進む。
言葉はそのまま、無意識に
私たちの意識の行き先を決めてしまうのです。
おわりに
「なぜ?」と「Pourquoi?」。
同じ問いでも、導かれる方向は違います。
もし今、あなたの中にすぐ答えられない「なぜ?」があるとしたら、
その奥にはきっと、まだ言葉にならない「何のために?」が
静かに眠っているのかもしれません。
その小さな気配に目を向けたとき、
そこから生まれた隙間から
未来は少しずつ姿をあらわしてくれるでしょう。
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